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日本における仮想通貨規制の枠組みとトークンの分類

荀彧_Tango
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荀彧_Tango
コーポレート系インハウス弁護士です。プライベートで、仮想通貨・暗号通貨の前線を趣味で観測する観測室-Crypto Observation Postの管理人です。最近は主に規制関係とICO界隈が好きです。

日本における法規制の枠組みについて

さて前回記事では法規制の枠組みの前提となる3つの機能と分類について説明しました。今回は日本の法規制の枠組みがどうなっているのかについて各機能毎に検討して見たいと思います。

余談

本題に入る前に、いきなり余談です。

画像で遊んでみました。外国系の写真サイトで使える画像を探していたのですが、”日本”って試しに検索すると出るわ、出るわ。こういう富士山の写真。外資系で働いたことがある方ならピンと来る方もいるかな、と思うのですが。

もうね、鉄板なんですよ。鉄板焼き。英語で言うとボイラープレート。なんのこっちゃ。

何かと言いますと、外資系で日本に進出してTokyo Office(子会社でも良いのですが)を立ち上げて、早速Tokyo Officeのウエブサイトやブローシャー(パンフレットのかっこいい言い方)を向こうの人に作らせるとね10中8、9こういう写真をバーンと載せてくるんですよね。(日本の企業を買収したりしてかなり日本化しているところはそうでもないですが。)

”美しい写真じゃないか!何が悪いんだ”

”いやいや。あなた、東京オフィスに進出しているわけで、我々の潜在的な顧客ターゲットは当然日本人だったりするのだけど、その辺わかってるのか?日本人が富士山の写真みて、ここって洗練されていると思うか?うちら旅行代理店じゃないのよ?”

んで散々議論して、東京オフィス内の人間を説得できたとしても、これがまた東京オフィスにウエブサイトのデザインを変更できる権限も意外なかったりしてねwww。本国の担当とバトルしなきゃいけなかったり(日本で検索するとこんな写真が出て来ました。後ろにいるのはバッファローマンかな?)。

あほらしくなって放置したり、色々ドラマが生まれる訳です。まあ、この写真を見るとそんな甘酸っぱい思い出が浮かんできませんか?(来ませんね…)。

 

…危うく雑記ブログになりそうになったので本題に戻ります。

資金決済法上の仮想通貨の定義

日本では既に規制の枠組みがかなり出来つつあるので、現状の法規制について傾向を分析する流れになります。日本では資金決済法にて仮想通貨に対する規制がなされる体制となっています。この改正法の立法担当者によれば、改正資金決済法における仮想通貨の定義についてもこのFATFのコンセプトに乗っ取って制定されたことが説明されています(『逐条解説2016年銀行法、資金決済法等改正』佐藤則雄監修p.35)。

具体的にはどのような規制の枠組みになっているのか見てみましょう。

まずトークンが資金決済法上の「仮想通貨」に該当する場合、そのトークンを業として 売買もしくは交換する行為、又は売買もしくは交換の媒介、取次ぎもしくは代理 を行う行為は、仮想通貨交換業に該当し、これらの行為を行うためには仮想通貨  交換業者としての登録が必要となる資金決済法において業規制されています。

そして資金決済法上、規制の対象となる仮想通貨は以下のとおりに定義されています(2条5項1号)。

  1. 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、
  2. 不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、
  3. 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

2号は

  1. 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、
  2. 電子情報処理組織を用いて移転することができるもの

 

今読み飛ばしませんでした?

えぇ。

法律の条文って読みづらいですよね。

そこで、少し簡単にしてみました(正確性は犠牲してます)。

仮想通貨とは何か?

1号仮想通貨

1. 物やサービスの支払いの手段になること(トークン(支払手段)であり、価値尺度ある)

2. それ自体に財産的価値がある電子的記録であり、他の人と売買・交換できること(価値貯蔵性)

3. 電子的な方法で移転できること(ただし、電子マネーや法定通貨を除くよ)

2号仮想通貨

上記の1号仮想通貨と交換可能な仮想通貨も対象となります。

こうやって定義をシンプルにして見ると、前回記事で紹介したFATFの定義をベースとしていることがよく分かりますね。

日本の法規制について仮想通貨の機能毎の検討

では、どのような枠組みにおいてかかる規制となっているかについて、前回使った分類に従って検討していきたいと思います。もう一度再掲しました。

なお、用語ですが、資金決済法上は仮想通貨となっていますが、金融庁は暗号資産という用語を事実上使い始めています。まあ暗号資産が正確だとは思うのですが、どうしても仮想通貨という言葉が浸透している現実もあり、一般的ですのであえてどちらかに統一させてはいませんので用語使用の厳密さに欠けますがご容赦ください。

 

1. トークン=資金決済法(適用)

日本では、資金決済法において事実上このカテゴリにて全て規制しているような状態になっています(現状はですが)ので、トークンという枠組みの中に全てのタイプを入れ込んでおり、トークンの一つの分類として暗号資産があるような状態です。

ところで遡りますが、仮想通貨交換業の枠組みが出来るまでの時代も、仮想通貨の性質については種々の説や検討がされてきました。このブログは論文ではないので詳細な紹介は控えますが、法律雑誌等の論文や寄稿をチェックしましたが、通貨との関係を問題とする説や債権であるとして有価証券に比して考える説などが有ったようです。自民党の取りまとめた中間報告(2016)においては、通貨でも物でもない「価値記録」、価値を有する電磁的記録と整理されていました。

これらFATFのガイドラインや上記の整理を受けて、改正された資金決済法上では、上記の定義のとおり支払いの手段となる電子的な財産的な価値とされています。もし将来が解釈に争いが生じた場合には裁判所で仮想通貨の定義について判断する事件も出てくるかもしれませんね。

日本の仮想通貨規制におけるトークンの概念・分類について

さて、暗号通貨をこのトークンとして議論するのはいいんですが、そもそも日本の法規制関連の文書でもよくトークンという単語が出てくるのですが、このトークンの分類が、これまた分かりにくい、というのが悩みでした。

そこで、先ほどのハイレベルな分類図の中でトークンの部分だけ切り出すイメージで、組み直してみたのが下の図です。

(EAFTの2015年のガイドライン、金融庁のICOに関する公表資料(平成 29 年 10月 27 日付け)、金融庁の2018年8月10日付の仮想通貨交換業者等の検査・モニタリング 中間とりまとめ 資料及び一般社団法人日本仮想通貨事業者協会の資料(平成 29 年 12 月 8 日付け)を参考にしました。個人的には、この日本仮想通貨事業者協会の資料はおそらく弁護士の手ががっちり入っていて法的にしっかり分析されているように思います。いずれにせよトークンの定義が割と広く、ICOで発行するのが2項有価証券の一部までトークンに含み得るように読めます。)

分類表について

暗号資産は、トークンのコンセプトの中の一つですね。

暗号資産という用語が用いられるようになったのは、仮想通貨と言う用語には法定通貨と交換できるいわゆる仮想通貨と法定通貨には交換できないゲーム上の中だけどコインである仮想通貨もあるのでその区別がつきにくい、と言う点と、必ずしも”通貨”と言う特徴を兼ね備えないブロックチェーンを利用したトークンも増えて来てるので、そこも考慮された結果かなと思います。ただ、日本では、仮想通貨交換業と言うことで資金決済法で既に仮想通貨と言う用語を使ってしまっているので、なかなかそこは変えられないかなと思います。

ちなみに暗号通貨という分類はありませんが、従前用いられているトークンという用語の分類の一環で、通貨的側面に着目し、暗号通貨という分類があってもいいように思い表に入れました(コモディティ的な面ですね。ただ、法規制という観点からは特段の意味合いはありません。)。

前払式支払手段について

さて、新しい用語が出て来ました。これは資金決済法に仮想通貨交換業ができる前からあったコンセプトです。

アプリ内課金でアイテムを購入した経験がみなさんお有りかと思いますが、それはこの前払式支払手段に該当する可能性があります。

要件を見てみましょう。

  1. 金額又は物品・サービスの数量(個数、本数、度数等)が、証票、電子機器その他の物(証票等)に記載され、又は電磁的な方法で記録されていること。
  2. 証票等に記載され、又は電磁的な方法で記録されている金額又は物品・サービスの数量に応ずる対価が支払われていること。
  3. 金額又は物品・サービスの数量が記載され、又は電磁的な方法で記録されている証票等や、これらの財産的価値と結びついた番号、記号その他の符号が発行されること。
  4. 物品を購入するとき、サービスの提供を受けるとき等に、証票等や番号、記号その他の符号が、提示、交付、通知その他の方法により使用できるものであること。

うーん…。

また例によってシンプルにしてみます。

仮想通貨とは何か?

1. 金額または物品・サービスの数量が証票(トークン)に記載・記録されていること(価値貯蔵)

2. トークンに記載された金額や物品・サービスの数量に対応する対価が支払われていること(対価性)

3. 金額または数量が記載・記録されたトークンが発行されること(発行者による発行)

4. 代金の支払いなど等に使用できること(支払手段)

よく似ていますね。でもちょっと違いますね。こうやって見てみると、これってユーティリティートークンの特徴そのものかもしれませんね。

ただ、暗号資産とは何が違うかと言いますと、以下のような点でしょうか。

  • デジタルであることを必ずしも前提としていません。したがって商品券も該当します。そのため前払い式支払手段の箱をトークンの一番外枠のエリアと仮想通貨のエリアに2箇所配置しました。
  • あくまで対価を得て発行されるので法定通貨の存在に依存しています(発行者は一定額を供託しないといけないのですね。)
  • あくまで発行者が認めた範囲でのみ利用できます。なので、利用範囲は発行者が認めた加盟店だけであったり、ゲームの中だけだったりします。
  • またSUICAを考えると分かりますが、特にデジタルなものについては、ホルダー間で送金しての移転することはできません(もう一度仮想通貨の定義を比べてみましょう。仮想通貨の定義では”他人間で売買・交換できること”と言う要素がありました。)。デジタルの場合は、二重払いのリスクを回避できないので中央集権的に発行者が管理している訳ですね。

ちなみに前払式支払手段にもゲーム内でしか利用できない自家型とSUICAのように第三者にも利用できる第三者型とあります。

会員権

(某ゴルフ場です。自分で写真を撮れば著作権の問題をクリアする当たり前の事実…)

さらに、前払式支払手段に該当しないトークンでもリゾート会員権やゴルフ会員権のように法令と言うよりも単に契約その他で規定されているだけの関係の権利をトークンと言う場合もありえます。

2項有価証券

こちら以下第3有価証券の部分で少し触れたいと思います。

 

日本の議論ではトークンの分類ってこんな感じなのかなと思いましたが、この辺りは色々と概念的に整理の仕方があるところかと思い、興味深いですし、ご意見も伺いたいところです。

2. 流通性のある財産的価値=資金決済法(適用)・商品先物取引法(否定)

資金決済法上、仮想通貨の定義においても売買可能な財産的価値があることを前提としています。電子マネーとは違い第三者間で仮想通貨を流通できる機能に着目した要素でした。

あえて商品という分類を出したのは、ご察しの通り、米国における仮想通貨の法的性質との比較をしてみたいという欲がありました。日本において商品先物取引法上の「商品」の定義の該当性に関する議論は確認できていませんが、少なくとも上記自民党が各省庁から取りまとめた中間報告の見解は「物」ではないという整理のようです。商品先物取引法上の商品は一次産品を対象としていますので、暗号資産は物ではない以上難しいですね。商品の3号の定義(国民経済上重要な原料又は材料であつて、その価 格の変動が著しいために先物取引に類似する取引の対象とされる蓋然性が高いも の)と指定する政令は現在存在しないようです。よって、日本法では商品取引法上の「商品」に該当するのはややハードルがありそうですね。

あえて金融庁が監督している中で、別途の規制を導入する必要性があるかというそもそも論もあると思います。

3. 有価証券=金融商品取引法(原則否定。ICOの場合注意。)

仮想通貨は中央の発行者がいませんので有価証券とは言えないということで、有価証券性は今の所認められていません。ただ投資についてのスキームを広くカバーした2項有価証券(集団投資スキーム)の該当性は問題となると思います。(そもそも金商法における有価証券とは何かという定義の議論は沼に入流ので、この記事ではとりあえず避けています。)

とりあえず、2項有価証券については、金銭による出資を行い、発行者が事業運営や投資運用を行い、上がった収益を投資家に配当する仕組みになっているようなものが該当する、ってのが超ざっくりのイメージです。まあ、ファンドですね。

なお、金融庁のICOに関する公表資料(平成 29 年 10月 27 日付け)においては、仮想通貨を通じてのICOではあっても、実質的に法定通貨による投資であったり、仮想通貨への投資が法定通貨を通じて行わなれる投資については、2項有価証券であることを前提としていると思いますが、金融商品取引法の適用があり得ることが示されています。

これは、金融商品取引法においてはよくありますが、文言に当てはまらないようにギリギリ適用を免れたとしても実質的に適用できる場合には積極的に適用しますよ、というプリンシプルに基づく金融庁の態度です。結構これはアドバイスする側としては頭を悩ませる話なんですよね。気持ちとしては、仮想通貨を使ったとしても、実質的に2項有価証券を募集する行為に該当するのであれば、金商法の適用をあり得る事について釘を刺しておきたい、という事だと思います。

いずれにせよ、将来的には勧誘規制や不公正取引規制について何らか類似の規制が課せられる可能性と必要性は高いと思っていますので、金融商品取引法の枠組みを理解しておくのは非常に重要だと思っています。(ただし、仮に類似の規制が課せられるとしても、その規制が金商法の枠組みの中でなされるのか、資金決済法が類似の枠組みを取り込むことになるのかは分かりません。)。

やはりどこかで2項有価証券は何かと言う説明はしないといかんですね…。

 

仮想通貨に関係する日本の法令とは?

 

というわけで、現状では、日本における仮想通貨に関する法規制の枠組みは次のようになっています。あえて、図にするほどの内容はありませんが、勢いで作ってしまったので掲載しました。

 

要するに仮想通貨について業法はこれまで説明してきた通り資金決済法です。

資金決済法上の仮想通貨交換業の登録を含めた手続面についての部分は、割愛させていただきます。

個人情報保護法や犯罪収益防止法も、今後の規制の方向性を見ていく上では重要ですが、正直、仮想通貨交換業の業界でなくとも適用されうる法令です。「その他」にもこの他沢山の法令が含まれます。

 

関係する省庁について

資金決済法を所管する監督官庁はどこでしょう…?

 

 

金融庁です。

 

 

正解!

 

当たり前ですね。以上、終わり。

なのですが、身も蓋もないので、日本における仮装通貨を巡る関係省庁について、私の妄想する関係省庁の思惑のポンチ絵を作って見ました。

監督官庁は金融庁ですが、当該庁が一体何を保護しようとしているのかを理解することが必要で、それがその後の規制の方向性を理解する基礎となると個人的に思っています。仮に行政の規制に反対するとしても、官庁の使命と問題意識を理解しておくことで、アプローチの仕方も工夫の仕方が出てくるのではないかと妄想するところです。

複数官庁を列挙しましたが、そもそも負っている役割がそれぞれ異なることにご注意ください。

金融庁

投資や投資家保護、そして金融市場の公平性、透明性の確保と活性化。また、マネーロンダリングの対策は国際的にも大きな課題となっており、この点に関しても金融庁は大きな使命感を感じていることが見て取れます。また、取引所との関係でも内部統制的側面については非常に懸念を持っています。

経済産業省

産業を発展させることが使命だと理解しています。この文脈でいえば、ブロックチェーン技術の保護育成と情報セキュリティあたりが経済産業省がカバーするところですが、一番根幹の仮想通貨の交換に関する業規制について金融庁が監督権限を持っていますので、経産省の影が薄いというか、切り口が難しいような印象を受けます。個人的には金融庁のカウンター・バランサーとして技術的な側面を含めもう少し存在感を出していただくのも良いなと思っています。

消費者庁

消費者保護の観点から金融庁と連携していますね。特に詐欺的な事案も多いですからねぇ。

警察庁

役割については言わずもがなですね。マネロン・テロ資金対策は大きな役割を担っていますし、サイバー犯罪についてもなんとか封じ込もうとしています。

結論

ここまで長い間お付き合いいただきありがとうございます。

日本の法規制の枠組みを前提とすると、トークンにはどのようなカテゴリーがあり仮想通貨がどこにハマるのか、について説明し、最後に関係省庁について軽く紹介しました。

仮想通貨が改めて既存の法規制の枠では捉えきれない部分があるために難しくも興味深い側面がある点がご理解いただければと思います。

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コーポレート系インハウス弁護士です。プライベートで、仮想通貨・暗号通貨の前線を趣味で観測する観測室-Crypto Observation Postの管理人です。最近は主に規制関係とICO界隈が好きです。

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