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仮想通貨・トークンの分類についての考察:法規制の観点から

荀彧_Tango
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荀彧_Tango
コーポレート系インハウス弁護士です。プライベートで、仮想通貨・暗号通貨の前線を趣味で観測する観測室-Crypto Observation Postの管理人です。最近は主に規制関係とICO界隈が好きです。

法規制の枠組みについて記事を書く理由

仮想通貨やトークンについて、法規制の観点からはどのような分類をするとしっくり来るのか、基本的な枠組みについて整理したいと思います。

トークンと言っても、最近は種類も増え整理や分類の仕方も人により様々です。ネットでも色々とトークンの分類について目にするのですがいまいちしっくり来ないことも多く、法規制という視点で考えると違う整理の仕方があっても良いと思っていました。また法規制の面で、仮想通貨は既存の金融商品の一つの枠組みのみでは説明できない点もあり、そこが議論を呼んできた悩ましい点でもあるし、法的にも知的にも私荀彧の好奇心が大いに刺激されている所以でもあります。

トークンの分類を整理することで、今後新しいトークンと出会った時でもその位置付けが容易になると同時に法規制の方向性が見えて来るようになればと思います。

まず仮想通貨とは何か

仮想通貨とは何かというのは、色々とまた議論を呼ぶところです。

昔であればSatoshi Nakamotoでも出そうかと思ったのですが、何と言ってもここは規制関連の記事ですので、ここは権威主義的に(笑)、経済協力開発機構(OECD)に置かれている作業部会の一つであるFATFと呼ばれるマネーロンダリング等を監視する金融作業部会において、仮想通貨に関するガイダンスを出しておりますので、その定義を引用したいと思います。

Virtual currency is a digital representation of value that can be digitally traded and functions as (1) a medium of exchange; and/or (2) a unit of account; and/or (3) a store of value, but does not have legal tender status (i.e., when tendered to a creditor, is a valid and legal offer of payment) in any jurisdiction.

EAFT, “GUIDANCE FOR A GUIDANCE FOR A RISK-BASED APPROACH TO VIRTUAL CURRENCIES”, 2015, p.26, Appendix A

仮想通貨とは、電子的に取引可能である価値を電子的に表象したものであり、いかなる管轄においても次の機能を有している

(1) 交換の手段(流通手段)であること、及び/又は

(2)計算単位(価値尺度)であり、及び/又は

(3)価値を貯蔵すること、

ただし法定通貨としての地位(すなわち、債権者へ提供した際に、有効で法的な弁済の提供となる地位)を有するものではない。

(訳は私の仮訳ですが、FATFに翻訳内容の承認ももらいました。)

この頃の定義、と言いますか、上記の仮想通貨の定義は、貨幣としての機能が非常に着目されていることが分かりますね(貨幣の3大機能についてwikipediaの説明。による3大要素をそのまま定義として用いています。)。

法規制を考える上での仮想通貨の3つの機能とは

ただ、最近に至るまでの様々なトークンや議論を踏まえた上で、個人的には仮想通貨・暗号資産の有する以下に紹介する3機能に応じて法規制を検討をすると整理しやすいのかなと思っています(もちろん、トークンについては色んな整理や分類の仕方があり、それを否定するものではありません。)。なお以下の図は3要素・機能は独立して線引きできるというよりは段階的な濃度の違いであり、また、各要素の有する性質が重複することがある、と思って見ていただければと思います。

1. 支払手段(トークン/証票/代用通貨)としての機能

たとえば、仮想通貨での支払いを受け付けるバーがあったとします。そのバーであなたがマティーニを注文した際にバーに対してSuicaではなく、ビットコインで支払う場面を想定してください。

(単にマティーニの写真出したかっただけ疑惑)

この場合、あなたが客としてマティーニを購入する対価としてビットコインをバー側のアカウントに送信することによって支払いが行われています。すなわち、ビットコインは支払の手段としての機能を果たしています。この場合、ビットコインは、支払手段、すなわち代用通貨であるトークン(証票)としての機能を果たしており、電子情報であることから、ある種電子マネーに近い機能を果たしているといえます。

ただし仮想通貨は、ホルダー間での売買・交換ができず法定通貨の裏付けのみにより成立しているSUICAなどの電子マネーとは異なる性質があります。

仮想通貨でもBitcoinなどは、法定通貨の裏付けを必要とするものではなく、分散台帳技術を前提に発行者がいないトークンであって、それ自体でホルダー間で転々流通することが可能ですが、このような特性に着目すると次のコモディティー的な性質があると言えます。

2. 流通性ある財産的価値(コモディティ/商品)としての機能

仮装通貨も、種類にもよりますが、それ自体に財産的価値があり、それ自体発行者や製造者を離れて他人と直接売買が可能であることから流通可能な財産的価値があります。ビットコインが、鉱物のゴールド(金)に近い性質を有すると聞いたことはありますか?ゴールドは、誰かが全ての権利を独占して発行したものではありません。そして、それ自体価値があり、材料としての有用性があり、また製造者を離れて売買が可能です。

たとえば、先に述べたBitcoin(BTC)は、ICOを実施していませんので発行者がいません。その上で、それ自体に価値保存機能と価値移転機能が存在することによりそれ自体に有用性が有り、更にはマイニングを通じて採掘の上限量が決まっていて採掘にもコストがかかる点で、鉱物のゴールド(金)に近い性質を有すると言われることがあります。この場合、ビットコインは発行者がおらず、一度マイナーから売却されればマイナーからは切り離されて流通されることになります。

このような流通性という性質から「商品」(Commodity)としての要素に着目することになります。商品であったとしても商品先物取引市場が存在しており市場性を否定するものではありません。商品先物取引上の商品の定義を引っ張ってきた訳ではないので、仮想通貨の内、特定の発行者がおらず流通性がある財産的価値という性質に着目したということです。

ビットコインについてよく議論されていた貨幣としての性質については、他の要素(SecurityやUtility)というよりはこちらの要素に寄せて考えるのが適切かもしれません。

3. 有価証券(投資の持分/発行者に対する権利を表すセキュリティ)としての機能

(ビットコインはマイニングの報酬により発行されますが)多くの仮想通貨はICO(Initial Coin Offering)と呼ばれる発行プロセスにより投資家に付与されています。プロジェクトの運営主体が存在しており、発行主体がホルダーにプロジェクトの収益に対して配当を明言するICOも多くありました。配当の利益を運営主体に請求する権利があります。この投資の実質やプロセスに着目すると証券への投資の要素に近づいてきます。

このようなトークンの場合、投資家保護の観点などを考えると、むしろ金融商品、特に有価証券としての性質に着目した規制を検討した方が、投資家保護という観点からは実態に近づきます。各国においても議論のある論点になっています。なぜこの要素の該当性が議論になるのかといえば、仮想通貨が有価証券に該当するとした場合には、ICOに当たり現状よりも重い開示の負担を負う可能性が出てくるためです。開示により投資家保護を目指すこととその負担と仮想通貨の投資や技術革新との適切なバランスというのは一つの論点になっています。

それぞれの機能に着目したトークンの例

以上の3要素の一つだけを有しているものは、仮想通貨はほとんどないと考えています。仮想通貨は、以上にあげた機能を複数有しており、その備えている機能によって、トークンの種類が分類することができるのではないかと思います。

電子トークン + 商品性 = Utility Token, Commodity Token

Utility Token

ユーティリティートークンとよく目にすると思います。USではイーサリアムがユーティリティトークンとしての性質を有するか有価証券性を有するかがSECにて議論されていた(現在進行形でしたっけ。)と思います。

ユーティリティ トークンとは一定のサービスに対する支払いのために使われるトークンですので、使い道が限定されていた昔のSuicaやお店でしか使えないポイントと考えると電子マネー・電子トークンとしてのカテゴリがしっくり来ます。そして、それが第三者との間で流通可能があるために、流通性ある価値として商品的な性質を併せ持っている、というイメージです。

そして、一定のサービスに紐づいている訳ではない場合はユーティリティ トークンというよりも、通貨/商品性(Commodity)としての性質が濃くなるイメージです。

Commodity Token

やはりBitcoin (BTC)がすぐに思い浮かびます。また、他のトークンの例としては、どうでしょう。例えば、BitcoinのフォークコインであるLitecoinとかも同じような性質を持っていると考えて良いのかと思います。

他には最近だと個人的な関心を引いたトークンにMetronome (MTN)がありましたが、あれなんかもどうでしょう。非中央集権化(descentralizaiton)が徹底されており、ICOは実施されたもののスマートコントラクトに基づいたオークションのみで管理者はいない状態ですし、また特定のサービスを利用するための支払い対価としての性質は有しておらず、価値を貯蔵することができ、移転できる(確かcross chainで持ち運びできる)という点に特質があります。

EOSも特定のサービスと紐づいている訳ではないとされていたので、UtilityというよりはこのCommodityとしての性質が優勢ではないかというコメントを見たことがありましたが、とはいえEOSはEOSのプラットフォームでDappsなどのアプリケーションを登録するために必要だと理解していますので、個人的にはETHと同様にUtilityとしての分類が適切かなと思いました。

電子トークン + 有価証券性  =  Security Token

セキュリティトークンといえば、バイナンスとマルタ証券取引所(MSE)がセキュリティ・トークンのための電子取引所を作るため、基本合意書(MOU)を締結とアナウンスしていましたね(MSE側のプレスリリースはこちら)。

セキュリティ・トークンとして有価証券性を前提としたトークンの例としては、仮想通貨の取引所(DEXですね)であるNeon Exchangeの発行するトークンであるNEXがあげられるかと思います。Neon ExchangeはNEXトークンのホルダー即ち投資家に対する配当を予定しており、有価証券性を満たしていることから、ICOを実施するにあたりリヒテンシュタインの当局(Finanicial Market Authority)におけるライセンスを取得したとアナウンスしました(ICOは終了済み。内容については自己責任でご確認くださいね。)。

電子トークン  +  有価証券性  +  商品性 = Asset Backed Token

ちなみに最近、アセットバックトトークン(asset backed token)って聞くじゃないですか。あれは読んで字の如く、資産を裏付けとして発行するトークンです。例えば、USドルを裏付けとして発行されていることになっているステーブルコイン(GUSD, USDT)、ゴールドを担保したトークン(DGX)、ダイヤモンドを裏付けとするトークン(CEDEX)、不動産を裏付けとしたAtlant Real Estate Tokens(ATL)、また、既存のローンを担保として発行されたトークンとしてはTokenLend(TLN)が発行されているようです(くどいですが、他のコイン・トークンも含め、本当に裏付けされているのかを含め、仕組みや中身や投資の是非の確認はご自身でお願いします。)。

ステーブルコインの扱いが微妙ですが、貴金属などの商品を裏付けとするトークンについては、やや商品としての性質が高いように思います。あまり詳しくないので調べたのですが、一般の商品先物取引においても当然売買の度に現物を交換してる訳ではなく、先物商品マーケットで購入すると、現物転換を請求することができる形になっているようです。また、他にも金融機関が、ゴールドなどの貴金属の商品現物を信託して、その信託受益権を投資家に販売しているケースがありますが、貴金属系のトークンは、性質としてはそれと近しいのかなと思います。信託受益権も有価証券である以上、やはり有価証券性が出てきそうですよね(もちろん各国の法制次第かと思いますが。)。

ABSはAsset Backed Securityの略ですが、また、証券化で自動車ローン、住宅ローンや不動産を裏付けにして発行したのが資産担保証券ですが、これも有価証券の一種ですね。また、少し毛色が異なりますが、投資信託でREITって有価証券があるじゃないですか。投資家からお金を集めて不動産を購入し、利子等の収益を投資家に分配するスキームです。

このように、アセットバックトトークンといっても、裏付けとなる資産が異なれば、トークンとしてどのような規制に服するかについても性格が異なるように思います。そのため、アセットバックトークンはこれだ、と一律の規制によりスッキリと処理するのは難しいと想像していて、既存の金融商品との類似性をベースにそれぞれ出てくる度に規制を検討していくことになるのではないかと想像しています。

という訳で、アセットバックトトークンは本質的には、これらを念頭に検討するのが筋としては近いように思っています。もちろん、併せて既存の証券との違いを意識してあえてブロックチェーンを使う意味があるのか、と言う点や分散化としての意味はあるのか等の点は念頭に置く可能性はあるかもしれません。このエリアはあまり詳しく調べ切れている訳ではないので、違う知見が得られればまた記載を追加します。

まとめ

いかがだったでしょうか。

以上の3つの機能に着目する視点は、各国の法規制の枠組みを分析する際にある程度使えるのではないかと思っていますので、その内、他の国の分析についてもこの枠組みに従い、検討してみたいと思っています。(いつになるかは分かりませんが…)

 

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コーポレート系インハウス弁護士です。プライベートで、仮想通貨・暗号通貨の前線を趣味で観測する観測室-Crypto Observation Postの管理人です。最近は主に規制関係とICO界隈が好きです。

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  1. […] と呼ばれる一方で、この後者がセキュリティトークンになります。現実の株式、債券といった有価証券を荀彧さんが書いたこのブログによりオタッキーに書いてあるのでこちらをどうぞ。 […]

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